特許温故知新(3)「エジソン効果」を使った電気表示器の特許
前回、エジソンの白熱電球特許を紹介しました。
エジソンは白熱電球の研究をしているうちに面白い現象を発見しました。
この現象は、現在では「エジソン効果」と呼ばれています。
「エジソン効果」を使った電気表示器の発明に関する特許(米国特許307031)を紹介しましょう。
米国特許307031[1]
発明者:トーマス・A・エジソン
発明の名称:電気表示器(ELECTRICAL INDICATOR)
目的:
電気回路における起電力の変動を示す効率的な装置を提供することであり、好ましくは配電システムに関連して使用され、管轄区域内の各所における電圧の変化を表示するものである。

米国特許307031の図1より
図の説明:
a:多灯回路を構成する電灯
A:ランプ
b:白金片
B:フレーム
c,c’:端子台
C:可変抵抗器
d:コイル
e:トーションばねfによって支持された針
f:トーションばね
g:フレームの上部横棒の分割部
h:ネジ
I:スタッド
j:ナット
k:ばね
l:ナット
m:針
n:目盛り
o:回路制御アーム
p:接点
1,2:照明システムの主導体
3,4:導線、特に3は正極導線
5:白金片に接続された導線
6:導線
発明のポイント:
特許明細書には詳細な記述はありませんが、白金片bから(導線4方向に)流れる電流は、主導体1,2の間の電圧変動や、ランプAのフィラメント温度(温度はフィラメントの劣化によって変動する)に依存すると考えられます。そのため、発明に係る電気表示器は、主導体1,2の間の電圧調整のためのフィードバック情報として、あるいは、ランプAの寿命検知として使用できるものと考えられます。
エジソン効果:
エジソン効果(熱電子放射)とは、熱せられた負極性のフィラメントと、近傍に設けられた正極性の金属との間で電流が流れる現象のことです。
「電子」の存在が知られていない時代に、エジソンが白熱電球の実験中に発見しました。
本特許の明細書にも、「私は、白熱電球の球体内の真空空間の任意の場所に導電性物質を介在させ、かつ、前記導電性物質を電球の外部において白熱導体の端子(好ましくは正極)の一つに接続すれば、電球が点灯している際、電流の一部が、こうして形成された分流回路を通過することを発見した。」との記載があります。
なかなか感動的な記載です。
エジソンが惜しかった点:
エジソンは、エジソン効果を発見しておきながら、より重要な発明には、思い至らなかったようです。
それは、整流器としての「二極真空管」の発明であり、増幅装置としての「三極真空管」の発明です。
<参考文献>
[1]米国特許307031
[2]名和小太郎,「起業家エジソン 知的財産・システム・市場開発」,朝日新聞出版,2001

