カドケシ®(消しゴム)に見る知的財産の多面的保護

INPIT(独立行政法人工業所有権情報‧研修館)から、令和7年 (令和7年1月~11月) の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)における特許‧意匠‧商標文献へのアクセス状況が発表されました[1]

特許(実用新案)部門で1位となったのはコクヨ株式会社の「消しゴム」(特許4304926)でした。
この特許をもとに商品化されたカドケシ®は商品名の「カドケシ®」で商標権と、商品の構造で特許を取得し、また、10個のキューブをつなげたカドが28個あるデザインで意匠登録されています。

◎「カドケシ®」に関する特許、意匠、商標を詳しく見ていきましょう。

●特許(特許第4304926号)
特許権者は「コクヨ株式会社」、発明の名称は「消しゴム」です。
20年以上前の出願のため、現在は権利が満了し、特許権は消滅しています。

発明が解決しようとする課題は、「細かい部分を正確に消す」ことであり、「より多くの角を設けて少しでも長く使用できる消しゴムを提供する」ことです。

特許請求の範囲は
「複数の直方体又は立方体を組み合わせてそれぞれの立体が外方に突出した角を有する形状をなすとともに、
前記直方体又は立方体の幅寸法、高さ寸法、奥行き寸法が全て全体の対応する寸法よりもそれぞれ小さい消しゴムであって、
複数の直方体又は立方体を辺同士のみが互いに接するように配置しているとともに、
接する辺の部分に接合部を設けて連続した形状にしていることを特徴とする消しゴム。 」
です。


特許第4304926号の図1より

上図に示されているのは、実際に「カドケシ®」として商品化されたものと同じ形状で、10個の立方体が合わさったデザインで、全部で28個のカドを有するものです。
ただ特許請求の範囲としては、立方体の数は複数であればよく、立方体に代えて直方体でもよいことになっています。

●意匠(意匠登録第1191186号)
意匠権者は「コクヨ株式会社」、意匠に係る物品の名称は「消しゴム」です。
この権利も、存続期間満了による抹消となっています。


意匠登録第1191186号の斜視図より

上図に示されているのは、実際に「カドケシ®」として商品化されたものと同じ形状です。

●商標(商標登録第4684894号)
商標権者は「コクヨ株式会社」です。
商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務は、
 第16類 紙類,荷札,印刷物,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写 機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機 ,郵便料金計器,輪転謄写機 です。
 なお、「消しゴム」は文房具類に含まれます。

登録商標は以下となっています。

この商標権は、存続期間が更新され現在でも権利は抹消されていません。

●商標(商標登録第5444010号)
商標権者は「コクヨ株式会社」です。
商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務は、
 第16類 消しゴム
登録商標は以下となっています。

この商標権は、存続期間が更新され現在でも権利は抹消されていません。

◎知的財産の多面的保護の意義について考えます。
特許は発明を、意匠はデザインを、商標は業務上の信用を保護するものであり、役割が異なっています。したがって、特許、意匠、商標を組み合わせることで製品の保護をより強固にすることが期待できます。

商品「カドケシ®」に関して言えば、「細かい部分を正確に消す」ことが長く継続できる構造という技術的な側面を特許権で保護し、10個の立方体からなる美しいデザインを意匠権で保護し、商品の形状、および、商品の特性を的確に言い表すとともに耳に残りやすい印象的な名称である「カドケシ」を商標権で保護することができているものと考えます。

<参考文献>
[1]https://www.inpit.go.jp/katsuyo/oyakudachi/link_20251217.pdf
 「2025年J-PlatPat検索ランキング~特許はカドケシ®がトップ! ロバート秋山氏の小道具も根強い人気~」
[2]特許第4304926号
[3]意匠登録第1191186号
[4]商標登録第4684894号
[5]商標登録第5444010号