有名人の特許出願(「アイアンクラブヘッド」について)
一部の芸能人も特許出願をしています。
もっとも有名なのは、所ジョージ氏・ビートたけし氏によるゴルフクラブに関する特許出願でしょうか。
今回は、その内容について触れていきましょう。
特許の公開番号は、特開2007-44440です。
西暦2005年(平成17年)8月12日に出願され、出願審査請求がなされた後、自発補正がなされ、進歩性の拒絶理由を受け、期日までに意見書・補正書の提出がなされなかったため、拒絶査定となっています。
出願人は、所ジョージ氏が所属する芸能事務所、および、(出願当時)ビートたけし氏が所属していた芸能事務所です。
発明者は、所ジョージ氏およびビートたけし氏です。
発明の名称は「アイアンクラブヘッド」です。
自発補正された特許請求の範囲は以下の通りです。
【請求項1】
フェース部背面の連結部に、水平で前後方向に長いネック部の前端を連結し、
その後端をシャフトと一体のホーゼル部の先端に連結してシャフトより正面前方にフェース面を配置することを特徴とするアイアンクラブヘッド。
【請求項2】
前記連結部はフェース部のヒール寄りの下端部に設け、
前記フェース部とネック部の底面で一体にソールを形成することを特徴とする請求項1記載のアイアンクラブヘッド。
請求項3以降は省略します。
発明の目的は、方向性が良くヒッカケやシャンク、ダフリなどの出にくいアイアンクラブヘッドを提供することです。
《発明に係るアイアンクラブヘッドの構成》(以下の図1~4は、特開2007-44440の図1~4に対応しています)
1 アイアンクラブヘッド,2 フェース部,22 連結部,3 ネック部,4 ホーゼル部,5 シャフト, a リーディングエッジ,b トップブレード

図1

図2

図3

図4
《構成と効果(明細書の内容を要約しています)》
ネック部3と一体のL字の縦棒に相当するホーゼル部4にシャフト5を差し込んでシャフト5より正面前方にフェース部2を配置します。
左右方向のフェース部2のソールの後方に前後方向のネック部3のソールが一直線に延びるようにします。
四角形のフェース部2のリーディングエッジaとトップブレードbがともに目標Aに対して直角に向きます。その結果、アドレスが構えやすくなり、目標が狙いやすくなります。
シャフト5より先にフェース部2が出ています。このことによって、パターと同じようにインパクトの瞬間のフェースが正しい方向を向いて傾かなくなり、フォローもまっすぐに延び、手首の返しも良くなります。
ネック部3の前方にフェース部2があるので、ネック部3に球が当たってシャンクすることもなくなります。
請求項1および2に記載された発明に係るアイアンクラブヘッドの構成を簡単にまとめると以下の通りになります。
請求項1:フェース部2がシャフト5およびネック部3の前方(図における左側)に設けられている(図1,図4参照)。
請求項2:連結部22はフェース部2のヒール寄りの下端部に設けられ、フェース部2とネック部3の底面で一体にソールを形成する(図1参照)。
従来のアイアンクラブは、フェース部が三角形で、フェース部がシャフトとほぼ同位置(フェース部がシャフトの前方にはない)でした。
そのため、本発明に係るアイアンクラブは、従来のアイアンクラブの形状とは全く異なったものとなっています。
この特許は権利化はされませんでしたが、「TxTハンマーアイアン」として、商品化され好評を得たようです。
《拒絶理由および特許を受けた可能性について》
上記したように、この発明に係る特許出願は審査請求されましたが、審査官から拒絶理由を受けました。
請求項1に対する拒絶理由は、「引用文献1(文献番号および内容の説明は省略します)に記載される発明に基づいて容易に発明できた」とするものでした(進歩性欠如)。
しかし、請求項2に対しては、拒絶理由なしとされています。
そのため、特許請求の範囲を請求項2の内容に減縮していれば特許を受けることができたはずです。
権利化しなかったのは残念な気もしますが、出願人の都合もあるのでしょう。


