磁気泳動表示装置に関して

チョークレスボード、磁性メモパッド、磁気ボード、お絵かきボードなどとも呼ばれる商品群があります。

例えば、タカラトミー社の「おえかきせんせい」という商品が有名であり[1]、現在でも販売されています。

他にも、
マグナ・ドゥードゥル(パイロット・ペン・コーポレーション・オブ・アメリカ)、
ジッキー Memole(株式会社パイロットコーポレーション)、
ダイヤルスケッチ ピカソくん(旧株式会社タカラ)
らくがき教室(株式会社アガツマ)、
などが知られています。

電力を使用せず、磁石の付いた専用のペンで書くことができ、磁力によって消去することができるため、ペンの消耗はなく、消しカスも発生しないという特徴があります。
そのため、幼児用玩具、筆談具、伝言板、潜水時の情報伝達等に用いられています。

旧株式会社タカラの特許出願明細書および図面(特開平11-149265、図1)[2]をお借りして動作原理を見てみましょう。

・磁気泳動表示パネル10は、目視側パネル12aと非目視側パネル12bの間に、黒い磁性粒子18と白に着色した分散流体20を封じ込めて製作されます。
・磁気ペン22を目視側パネル12a側からなぞると、黒い磁性粒子18が目視側パネル12a側に移動して筆跡部分が黒く視認されるようになります。
・ここで、分散流体20の粘度等により、磁性粒子18は簡単に沈降しないようにされています。
・次に、非目視側パネル12b側から永久磁石24を近づけてなぞると、永久磁石24でなぞった部分の黒い磁性粒子18が非目視側パネル12b側に移動し、その結果、目視側パネル12aからは分散流体20の白色が視認される(すなわち、筆跡部分が消去されたように見える)という仕組みです。

この技術は、原理面に着目すれば、「磁気泳動表示技術」という分野に該当します。

磁気泳動表示技術に関する特許出願状況を調査してみました。
 調査日:2025.4.3
 調査方法:J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)、検索式=「磁気泳動 表示」
 結果:122件ヒットしました

ヒットした公報の中で、最も古いものは昭和49年(1974年)年にパイロツト萬年筆株式会社から出願され特許となっています(下記参照)[3]。
 出願番号:特願昭49-133027
 公開番号:特開昭51-058893
 登録番号:特許1135945

おそらく、これが基本特許となって、その後多くの商品が開発され、売り出されるようになったものであると推察されます。

すでに、上記出願から50年以上を経過したことになります。
50年以上を経過して、今なお商品が売れ続けているこのような技術を開発した方は、技術者冥利に尽きることでしょう。

<参考>

[1]タカラトミー「おえかきせんせい」 https://www.takaratomy.co.jp/products/sensei/ より
[2]特開平11-149265
[3]特開昭51-058893