減塩醤油について
日本高血圧学会では、高血圧の治療においては1日6g未満を推奨しており、高血圧の予防のために,血圧が正常な人にも食塩制限(可能であれば1日6g未満)を推奨しています。
このような背景のもと、各醤油メーカーから減塩醤油が販売されています。
なお、しょうゆの表示に関する公正競争規約(平成30年12月21日施行)及び施行規則(平成31年4月3日施行)によると、『「減塩」の用語 は、しょうゆ100g中の食塩量が9g以下のもので あって、食品表示基準第7条の低減された旨の 表示に基づく表示を行ったしょうゆに表示する ことができる。』とされています。
通常の濃口醤油の100ml中の食塩相当量は17.5g(醤油の比重を1.15g/mlとすると100g中の食塩相当量は約15.2g)と言われているので、「減塩」と表示をしている(すなわち「しょうゆ100g中の食塩量が9g以下」)の醤油の食塩相当量は、通常の濃口醤油の食塩相当量の約59%以下であることになります。
減塩醤油に関する特許出願状況を調査してみました。
調査日:2025.2.21
調査方法:J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)、検索式=「減塩 醤油」
結果:出願件数の多い上位三社は 「キッコーマン株式会社」「花王株式会社」「ヤマサ醤油株式会社」でした。
この三社に関して、出願年と特許出願の累積件数をまとめると以下のグラフになります。
「キッコーマン株式会社」は50年前からコンスタントに出願しています。
「花王株式会社」は2005年前後の5年程度の間に集中的に出願しています。
「ヤマサ醤油株式会社」は2013年頃から出願し始めたことがわかります。
注目すべきは、醤油メーカーではない「花王株式会社」が出願件数トップの「キッコーマン株式会社」に匹敵するくらいに、しかも、一時期に集中的に出願していることでしょう。
「花王株式会社」の特許の一例として<特許4772580>の内容を紹介します。
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)、
(A)ナトリウム 3.6~5.5質量%
(B)カリウム 0.5~6質量%
(C)酸性アミノ酸が2質量%超であって、アスパラギン酸1質量%超~3質量%以下及びグルタミン酸1質量%超~2質量%以下
(D)エタノール 1~10質量%
を含有する容器詰液体調味料。
【請求項2】以下は省略する。
【発明の効果】を要約すると以下のようになります。
減塩醤油とするためには(A)ナトリウム成分(塩化ナトリウム)を通常の醤油よりも減らす必要があるが塩味が不足するため、塩味を増強できる(B)カリウムを配合する。
しかし、(B)カリウムを配合するとカリウム由来の特有の異味が感じられ好ましくない。
そこで、(C)酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸を添加してカリウム由来の異味抑制、塩味増強、風味バランスを好適なものとする。
さらに、(D)エタノールを添加すると、すっきりとした呈味性、保存性、良好な風味バランスが付与される。
「花王株式会社」が多くの特許出願をした理由は不明です。
推測になりますが、特許権を取得することによって食品(この特許では、特に、減塩醬油)に使用される原材料の販売力を強化しようとしたのかもしれません。
いずれにせよ、「花王株式会社」は戦略的に特許を出願する会社であることがわかりました。
参考:
1.日本高血圧学会HP https://www.jpnsh.jp/com_salt.html
2.しょうゆの表示に関する公正競争規約(平成30年12月21日施行)及び施行規則(平成31年4月3日施行) https://www.soysauce.or.jp/kousei/hyouji-H31.pdf



