全国発明表彰 2024年度内閣総理大臣賞 半導体積層プロセスCu-Cu接続技術

 全国発明表彰は公益社団法人発明協会が主催する、優れた発明を表彰する賞です。

 2024年度の内閣総理大臣賞を受賞した特許第5939184号「半導体装置の製造方法」(ソニー株式会社、2013年3月22日出願、2016年5月27日特許登録)について調べてみました。

 スマホ等に搭載されるCMOSイメージセンサーを小型化・高性能化するためには、貼り合わせによってセンサ基板と回路基板とを積層するのが有効です。しかし、従来方法ではセンサ基板と回路基板の間にボイド(空隙)ができてしまい基板間の貼合せ強度が低下するという問題があったということです。そこで、基板間の貼合せ強度の低下を防止する製造方法を発明した、という流れになります。

 特許の対象となった技術を短くまとめると、センサ基板と回路基板を貼り合わせる前に、基板の貼り合わせ面にわざと「絶縁性薄膜A」を成膜し、2枚の基板の貼合せ面同士を対向配置して貼り合わせ、高温で熱処理して、電極同士で狭持された「絶縁性薄膜A」を、対応する電極それぞれを構成する金属(Cu電極)の結晶粒成長による変形・移動によって破壊し、電極同士を直接接触させるというものです。下図参照:公益社団法人発明協会の「内閣総理大臣賞 半導体積層プロセスにおけるCu-Cu接続技術の発明(特許第5939184号)」https://koueki.jiii.or.jp/hyosho/zenkoku/2024/cao.htmlより。

 上記特許の明細書を読むと以下のメカニズムによって効果が発生しているようです。
 ①センサ基板(回路基板も同様)のCu電極と隣接するCu電極の間には「絶縁膜B」が形成されており、②接合前に接合面を研磨すると(これは工程上必要なこと)、③「絶縁膜B」表面にOH基が多く存在することとなり、「絶縁性薄膜A」を形成せず接合すると、④「絶縁膜B」同士が直接接合する接合界面において、脱水縮合によるボイドが発生する。
 しかし、上記①~③に続いて、④新たに接合面全面に「絶縁性薄膜A」を形成すると、「絶縁膜B」同士の直接接合で発生していた脱水縮合が起こらなくなり(ボイドが発生せず)、さらに、⑤高温で処理することにより、Cu電極の結晶化を促し、Cu電極の結晶が「絶縁性薄膜A」を破壊して、もう一方側の基板のCu電極と接触し導通が取れるということになるようです。

 導通を取らなければならないCu電極の上にまで、わざと「絶縁性薄膜A」を形成するとは、素晴らしいアイデアですね(下図参照)。

 なお、積層型CMOSイメージセンサーは、2015年、ソニー株式会社によって世界で初めて大量生産が始められたということです。