「試料容器(SafeCap)」に関して

日本発明振興協会(石井卓爾会長)と日刊工業新聞社共催の「第50回(2024年度)発明大賞」の考案功労賞に試料容器(SafeCap)が選ばれ、表彰されました[1]。

試料容器(SafeCap)とは、どのようなものなのでしょうか。
表彰対象である技術について、下図(図1、図6、特許7289577の図1、図6に対応しています)を使って解説します。

特許7289577における発明の名称は「試料容器」です。

《背景技術》
疾病を診断する際、生体の細胞又は組織の一部が生検機構又は生検針等を用いて採取され、採取した検体を密封容器に封入しホルマリン等に浸漬することが必要となります。
しかし、ホルマリンは、生物(人体)にとって有害です。
そのため、ホルマリンを外部に暴露することなく、検体等を容易に容器に封入できる試料容器が求められていました。

《発明に係る試料容器の構成》
A 保管容器,B 貯留容器,X 浸漬液, 1 保管器,2 貯留器,3 内連結部,4 外連結部,5 開封刃,6 封鎖膜

図1

図6

《発明に係る試料容器の使用方法》
①未使用状態の試料容器(図6(B))のキャップでもある貯留容器Bを緩めて保管容器A から外し(図6(A))、試料を保管器1 に入れます。
ここで、貯留器2 は、定められた量の(ホルマリン等の)浸漬液X が充填され、当該貯留器2 の開口部はヒートシール等により封鎖膜6 で密封されています。また、保管容器Aの内部には開封刃5 が備えられています(図1(A))。
②再び貯留容器B を試料が入った保管容器A に連結し、保管容器A に対して貯留容器B を締め入れます。
このとき、締めの進行を抑制する感覚が手に伝わります(図6(B))。
③しかし、この位置(図6(B))で締め込みを止めることなく強引に締め込みを継続し、相互の回転を止める感覚が手に伝わることをもって締め込みを終了します( 図6(C))。
この時、封鎖膜6 は開封刃5 によって破断され、貯留容器B の浸漬液X は封鎖膜6 の破断部位に生じた孔から保管器1 内に流入します(図1(B))。

《まとめ》
発明に係る試料容器は、(ホルマリン等の)浸漬液Xを外部に暴露することなく、検体等を容易に(保管容器Aと、蓋を兼ねる貯留容器B、からなる容器に)封入可能とするものである。
実に、巧妙な仕掛けですね。

<参考>

[1]https://www.sansho-mec.co.jp/information/detail.php?id=40
 「第50回(2024年度)発明大賞」の考案功労賞に試料容器(SafeCap)が選ばれ、表彰されました
[2]https://www.sansho-mec.co.jp/safecap/
 暴露防止容器(SafeCap)
[3]https://biz.nikkan.co.jp/html/hatsumei/vol50.html
 第50回 受賞者
[4]特許第7289577号